猫は吐く動物???(2020.10.18)
「猫は吐く動物でしょ?」
この言葉を聞くたびに、うーーーん、、、どうしよう、と途方に暮れております。
そんな訳ありません(;^ω^)
「吐く」行為が、どれだけ体にとって負担になるか、しんどいか、ですね。
しんどいですよね?吐くと。辛いですよね??
吐いた方が楽なのは、二日酔いの時ぐらいかと。
あ、いや、二日酔い事態がしんどいですし、吐いている猫が二日酔いって訳ではありませんよ。
確かに、二足歩行の人間よりは、吐きやすいかも知れません。
「吐く」とは重力に逆らって胃内容物が逆流することですので、四足歩行の猫ちゃんの方が重力に逆らう力は少なくて済む訳ですから。
でも、それが週に一回、二日に一回、毎日。
明らかにおかしいですよね。
「吐く」には、何か原因があります(原因がすぐに分らないことも多々、ありますが)。
吐くだけでなく、例えば、下痢や食欲不振などなど、何か正常では無い症状がある場合、必ず、原因があります。
勿論、病気の場合と病気ではない場合も含めて、ですが。
例えば、猫草。
当然、吐きます。
吐かせて毛玉を出させよう、と言う趣旨のものですから。
でもね、吐くという行為は、理由が何であれ、体に負担を強いてしまいます。
逆流した胃酸で食道が荒れる場合もあります。
考えてみると、結構、乱暴ですよね(笑)
因みに、短毛の猫ちゃんの場合は、飲み込んだ毛のほとんどが便に排泄されますので、敢えて吐かせる必要はありません。
むしろ、飲み込んだ毛が中々、排泄されない場合には、排泄され辛い理由(胃腸の運動性が制限されるような理由や皮膚病等で過剰に毛を飲み込んでいる等)があります。
そちらの理由を解消したり、治療してあげる方が大事だと思います。
長毛の猫ちゃんの場合は、確かに、飲み込んだ毛が固まりになって排泄され辛い場合もありますが。その場合も、吐かせるよりも、便に毛が排泄されやすくなるように、毛玉ケアのフードやサプリメントを使う方が、猫ちゃんの負担は少ないですよね。
また、猫草を与える目的として、便秘解消と言う理由もあるようですが。
猫草の固くて長い消化されない食物繊維を大量に摂取すると、逆に便秘や体調を悪化させる場合もあります。
例えば、慢性腎不全による便秘や巨大結腸症による便秘(正確には病態としては腸閉塞です)では、余計に便秘が悪化したり、条件が重なると命に係わる事態になることもあります。
よくね、猫だから分からない、とおっしゃる方もいらっしゃいます。
診察中にお話ししてみますのは、
「猫だと分からないなら、人間で考えてみてください」
と。難しく考える必要は無いと思いますよ。
勿論、猫は完全な肉食動物で、食性が人間とは異なりますので、違う部分もあります。
人間と同じ生活がいい、と言う訳では決してありません。
ただ、、。
吐いたらシンドイのは、人と一緒だと思いますからね。
動物と生活するということは、異種間相互コミュニケーションの訓練(というと楽しくなくなっちゃいそうですね、、)みたいなものだと思ったりします。
色んな誤解や行き違い、勘違い。思い込み。人と猫と。人と犬と。人と動物と。
それらを減らしながら、お互いを理解していく行為だと思います。
まずは、見てみる、しっかり看てみる。観察する。
相手の気持ちになって、楽しみながら、眺めてみると。
新しい発見と理解が深まるんじゃないのかな、と思ったりします。
きっと、いつもの猫ちゃんのスリスリもゴロゴロも。
時には、フーー、シャァァァァ!!ですら(笑)
もっと、ずっと、愛おしく感じられると思います。
↑“退屈やねん!ちょっとは遊んだってぇなぁーー”とおっしゃられる同居猫のタマコさん